2009年6月9日火曜日

"Busuness Models for Technology in the Developing World: The Role of Non-Governmental Organizations"

本文献は2006年のCalifornia Management Reviewに掲載されたもの(Spring 2006, Vol.48, No.3)。
著者はHenry Chesbrough, Shane Ahern, Megan Finn, Stephane Guerraz

今回読み直し、示唆に富んでいる事を改めて感じたのでここで紹介します。


本文献でのメッセージは以下2点にあると理解した。
  1. ビジネスモデル(バリューチェーン)構築の重要性
  2. 事業の立ち上げ期にNGOと提携する事の重要性
1点目、ビジネスモデル(バリューチェーン)構築の重要性は、そもそもBOP市場には製造、流通/販売、等を行える業者が十分存在しない、また資金を調達する資本市場も十分発達していない、という前提から始まっている。この様な状況では、どんなにその社会に適合する製品、サービスを創りだしても事業として成功出来ない。この考えは、Stuart L. Hartの「未来をつくる資本主義」で土着化と表現したもの、またJamie Anderson/Costas Markidesが示した4Asの考え方(Strategic Innovation at the Base of the Pyramid, MIT Sloan Management Review)と共通する。

2点目、事業の立ち上げ期にはNGOと連携する理由は、そもそもBOPでの事業立ち上げには長期間を要し(本文献では5年以上と表現)、営利企業がそれだけの期間待つ事は難しい、そこでNGOを活用しようというものである。またNGOは利益を税金として納めたり株主に配当する必要はなく、その分事業に携わる小規模な起業家にまわす事が出来るので、彼らの育成にもつながる、というもの。
この点は、本フォーラムでも議論している営利企業とNGOの分業モデルそのものである。但し本文献ではNGOが関わるのは初期のみ、その後は営利企業がNGOの担当分を引き取り単独で事業を行う、NGOは新しい別の事業の立ち上げに携わる、としている。営利企業が単独で事業を行うのは先進国と同じ、つまりそれなりのインフラ、環境が整っていればNGOは必要ない、という事であろうか。またその場合社会性と営利性の両立はNGOがいる場合と同じであろうか、もしくは変わるのか?
もう少し検討が必要そうである。

0 件のコメント:

コメントを投稿