2009年6月9日火曜日

"Serving the World’s Poor, Profitably"

 C.K. Prahalad and Allen Hammondによって2002年にHarvard Business Reviewに掲載された論文。日本語は2003年1月号の Diamond Harvard Business Reviewに掲載されている。邦題は「多国籍企業の新たな成長戦略 第三世界は知られざる巨大市場」

--
内容の要約
 BoPは多国籍企業が未開拓のまま放置している巨大市場であり、企業は自己の利益を追求しつつ貧困を削減することが出来る。BoPの消費者は購買力が無い、生活必需品しか売れない、低価格なものしか売れないため利益が出ない、などと一般的に言われているがそれらは誤解である。実際にはBoPは非効率と中間搾取に満ちた非公式・高コスト経済(BoPペナルティー)のために貧しく、適切なものを適切なプロセス、適切な価格で販売すれば、BoP全体として大きな利益を得られる。

 さらにその経験が企業にとっての強力な競争優位になる。BoP市場に参入することによって売上拡大のための新しい市場の獲得、オペレーション効率の向上、イノベーションの機会向上という3つの競争優位性を獲得出来る。ただし、そのためには創造的な思考、BoPに関する正しい理解、研究開発部門を現地に設置するなどの企業の構造改革などが必要である。

 多国籍企業には豊富な技術と才能があり、国際開発機関や政府が出来なかった市場主導と言う新しいパラダイムを示し、新しい基準を生み出すことが出来るとしている。
--

 戦略論の見地からBoPの概念が初めて提唱されたのは1998年(ちなみにBottom of the Pyramidというフレーズ自体は1932年に当時のFranklin D. Rooseveltによってラジオ演説で使われている)。

<BOP戦略の原型となった論文>
Hart, S.L. (1997) "Beyond Greening: Strategies for a Sustainable World" Harvard Business Review, Jan-Feb.
Prahalad & Lieberthal (1998) "The End of Corporate Imperialism" Havard Business Review July-August.
Prahalad & Hart (1998) unpublished research report on BOP strategy  :「BOPにおける経済的利益を伴う貧困の解消」というコンセプトが初めて提示された。これをベースに書かれたのが、
C.K. Prahalad & Stuart L. Hart (2002) "The Fortune at the Bottom of the Pyramid," Strategy+Business, January 2002: 54-67.

0 件のコメント:

コメントを投稿