2009年7月13日月曜日

バングラデシュ研究調査概況 (2009年7月2日)

訪問先: Grameen Danone
Bograという町(首都Dhakaから約200kmの距離)に、Grameen Danoneの工場がある。ここでは周囲の農家から購入した牛乳を用い、栄養不足に陥りがちな農村の子供向けの、栄養素を豊富に含むヨーグルトを製造している。

事業内容、状況:
現在は周囲の農家と直接契約し、原材料である牛乳を購入している。購入価格は市場価格のように変動させることなく高めに設定し、かつ必ず全量購入する事にしている。従って農家にとっては収入が増加/安定するというメリットを提供している。
製造されたヨーグルトは工場から3輪トラックで周囲の農村に運ばれ、そこでDanone ladyがピックアップし各家庭に販売している(Danone lady 1人当たり、平均で1日約100カップ販売している)
なお、以前はGrameen Livestockや他事業者から牛乳を購入していたが、貯蔵タンクが工場から離れていた事や、直接農家から買い取る方が農家にとって良い条件に改善出来る事から、現在の直接契約という形に変えた。

また、工場には以下のような環境に配慮した設備を導入している。
  • 雨水を溜めて再利用
  • 太陽熱でお湯を沸かす
  • 排水を微生物で分解させる(環境に負荷をかけなけ)。その際出てくるバイオガスを貯蔵し利用する。
なお、2006年の工場立ち上げ時は、設計から実際の運用までをわずか3か月で実現した。
当時はDanoneの社員が多くいたが、現在は全てGrameen Danoneの社員(全部で30名、一部はDanoneから移籍)。

バングラデシュでは米が主食であり、ヨーグルトの価値を消費者に理解してもらう事は大変だった。
コミュニティー内で教育活動を行うなど、徐々に理解を広げてもらい、市場を拡大した。


資本金:
Grameen Shakti, Grameen Kalyan等Grameenグループの企業から50%, Danone(フランス) 50%


所感
農家から直接原材料の牛乳を購入(全量買い取り、価格は安定)、栄養失調に陥りがちな子供向け健康ヨーグルトを提供、販路にはDanone Ladyを活用するという仕組みにより、社会的価値の向上に寄与している。多国籍企業の知識やノウハウを活用した社会的価値の増大を実現させている好事例と言える。
今後、工場をバングラデシュ国内に展開したいと考えているようだが、その為には単に工場を建てるだけではなく、牛乳の供給源や販売先である農村の消費者を
徐々に開拓しながら時間をかけて展開していく必要があろう。

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