2009年8月31日月曜日

映画『アリ地獄のような街』

大都市ダッカの闇。子どもがアリ地獄に飲み込まれていくリアルストーリー


本作品はバングラデシュの首都、ダッカの闇を描いた映画で、同国でストリートチルドレンの保護活動を行うNGO エクマットラが作成。路上生活をする子ども達の実態が伝えられているようだ。

試写会が9月17日、9月20日に行われる他、本映画のオフィシャルサイトによれば11月には横浜シネマ・ジャック&ベティでの劇場公開が行われる。

映画『アリ地獄のような街』

2009年8月25日火曜日

BOP事業におけるマイクロファイナンスの使われ方

<メモ>

農村部のBOP層の人々がMFを活用する場合、大手企業の参画の有無で二つのパターンが考えられる。

1)参画なし⇒小規模自営業(例:牛・鶏の購入、個人商店の商品仕入れ、小規模土地購入等)のための資本

2)参画あり⇒大手企業の商品販売、もしくはその商品をベースにした個人事業のための資本(例:アフリカでのPhilips社のポータブル電灯販売、バングラデシュでのグラミンテレコムのビレッジフォン、インドでのユニリーバのiShakti等)

当然ながら、プラハラッド等の構想では2)のパターンが重要になってくる。これによって多国籍企業から見れば、BOP層の人々が単なる消費者となるだけでなく、職と収入を得る存在となるからだ。ただやはり気になるのは、BOP層の経済的自立(貧困からの脱却)を目指すのであれば、何もその収益源をBOP層自体にのみ求める必然性はなく、Karnaniが言うようにBOP層が「生産者」として活動し、中間・富裕層や輸出市場へ販売し収入を得たほう(マザーハウス型)が、収益性は高めやすいのではないか。


バングラデシュの広告宣伝事情

Adcomm(Dhaka)社マネジング・ディレクター、Nazim Farhan Choudhury氏のブログ

ワニ養殖ビジネス(バングラデシュ)

400匹の養殖に成功しており、革や肉の高級品市場をターゲットにしているという。

南アジア地域協力連合(SAARC)

SAARC:South Asian Association for Regional Cooperation
インド、パキスタン、バングラデシュ、スリランカ、ネパール、ブータン、モルディブ、アフガニスタンの8カ国。南アジアにおける比較的緩やかな地域協力の枠組み。外務省サイトに日本との関係を含め解説がある。

バングラデシュ政府は、インドやパキスタンをはじめとする他メンバー国との貿易赤字を解消するため、首相主導で委員会を設置した。


大型発電所建設への入札来月始まる(バングラデシュ)

同国では急速な工業化によって、過去5年間は毎年6%づつ電力需要が伸びてきている。現時点のデイリーの電力需要は6000MWにもかかわらず、供給量は4000MWしかない。同国政府は、410 billion taka (six billion dollar) 規模の計画を承認し、来月より企業からの応札を開始するという。大部分の発電所は石炭、軽油、および炉用燃料(furnace fuel)となるだろう、とthe head of the Bangladesh Power Development Board, A.S.M. Alamgir Kabir氏。

日本のNGO Living in Peaceが、日本初のマイクロファイナンス向けファンド募集

音楽制作とファンド運営のミュージックセキュリティーズ㈱が募集し、カンボジアのプノンペンにあるマイクロファイナンス専門の金融機関「CHC」へ出資するという。

2009年8月22日土曜日

BOP1.0, BOP2.0

「BOP」を、単に消費者でなく、労働調達先でなく、共同のパートナーとして認識し、能力を相互に補完しあうフレームワークがBOP2.0、もしくはStuart Hartの一連の著作の根底にある考え方である。「土着化」とはまさにその具体的な方法論の一つであり、重要な成功原則と考えられる。

「ボリュームゾーン」とBOP市場

2009年の通商白書にも取り上げられ、日本企業の重点戦略としても登場頻度の高い市場セグメントが「ボリュームゾーン」市場である。このセグメントは「中間層」とも呼ばれ、「世帯可処分所得5,001~35,000ドルの人口」である。アジアでは、「中国4.4億人」「インド2.1億人」を含む8.8億人の市場である。白書では4つの重点施策の一つとして「ボリュームゾーン・イノベーションの推進」があげられ、1)低コスト化技術による新たなイノベーションの促進、2)投資協定、知的財産保護による投資環境整備、3)海外投資収益の国内還流促進、が要点として挙げられている。

現在の日本企業の関心は、圧倒的にボリュームゾーンにある。すでに顕在化している市場であるから、当然と言えば当然である。(例:パナソニックの2008年度決算発表資料

一方、BOPは言うまでもなく年収3000ドル以下の40億人市場であり、「ボリュームゾーン」の下方にある、別のセグメントである。

BOPにおける企業戦略は、ピラミッドの上から下へ向かってcascadeのように市場を下っていくボリュームゾーンの発想とは対極にある。直接最貧困層へleapする姿勢が求められる。Hartが言うように、BOPにおいては既存戦略の延長上にはない、「破壊的イノベーション」が必要とされるゆえんである。

Purdue University の研究結果:地球の気候変化で最も貧困化が進行する国はBangladesh, Mexico そして Zambia

同研究によれば、干ばつ、熱波、豪雨などの異常気象によって農産物の収穫が減少すると、最も影響を受けるのはこれらの国の都市労働者である。バングラデシュでは、異常気象によって推定180万人が新たに貧困化($1/dayで生活)するという。
http://www.sciencedaily.com/releases/2009/08/090820082101.htm

バングラデシュの通信業界・通信行政

この総務省の報告書が最新事情をまとめている。他の世界諸国に関しても報告書あり。
http://g-ict.soumu.go.jp/pdf_files/880.pdf

アフリカ諸国はこちら
南アのみこちら
インドはこちら

米UTC Associates社が、“Digital Bangladesh” の青写真をBTCLに提示

“Digital Bangladesh”とは、バングラデシュ政府が2021年までに都市部から農村部に至るまで、全国土を情報通信網でカバーし、経済活動を根本的に変革しようとするイニシャティブである。UTC Associates社は、そのVision, Roadmap そして StrategyをBTCL(2008年7月に民営化されたばかりの同国の通信会社)に提示した。同プランは、Broadband Infrastructure, E-Governance, E-Finance, E-health そして E-learningを包括的にカバーするものである。

同プランのプレゼンテーションには以下の出席者があった。
1)Mr. Rajiuddin Ahmed Raju, Hon’ble Minister of Posts and Telecommunications of People’s Republic of Bangladesh
2)Brigadier General (Retd) Zia Ahmed, PSC, Chairman, Bangladesh Telecommunications and Regulatory Commission (BTRC)
3)Engr. S. M. Khabiruzzaman, P Eng., Managing Director of Bangladesh Telecommunications Company Limited (BTCL)
4)Md. Mujibur Rahman, Managing Director of Teletlak
5)Engr. Monwar Hossain, Managing Director, Bangladesh Submarine Cable Company Limited
6)Major General (Retd) ATM Abdul Wahab
7)Mr. Aziz Ahmad, CEO of UTC Associates and Vonair
8)over 50 key BTCL Sr. Managers and dignitaries

http://www.earthtimes.org/articles/show/utc-associates-outlays-digital-bangladesh,934057.shtml

バングラデシュ中央銀行、初のソブリン格付けに向けて準備

初の同国国債の格付けをS&Pに申請するに当たり、準備が始まっている。

名古屋大学が高水位でも生育するイネの品種を開発

http://www.google.com/hostednews/ap/article/ALeqM5gDGB5MH3-7Y3d6wxkDO2nFZxEQigD9A6AHU02

芦刈教授のチームは、現在洪水に強いイネの品種を3-4年以内に開発する計画で、ヴェトナム、タイ、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジアなど、水害の多い地域での活用を目指している。

バングラデシュ・チッタゴン丘陵地帯の平和を求めて ~先住民族リーダーから学ぶこと~

9月17日(木) 19:00~21:00にアムネスティ・インターナショナル日本/ジュマ・ネット共催の講演会が開催される。
http://www.ngo.ne.jp/modules/news/article.php?storyid=4263

バングラデシュ教育相、外国語教育で中国語の重要性を指摘

「今後のバングラデシュ―中国の関係を、緊密にするためにも、中国語が重要になる」
「英語に次いで、中国語を重視」


グラミンフォン、Huaweiを太陽電池ベースの第4世代無線基地局のベンダーに指定

Huaweiは、中国の通信機器大手・無線ネットワークベンダー。本件は、バングラデシュ初の太陽電池によって電力供給を行う無線(携帯電話)基地局。グラミンフォンは、これによって環境にやさしいネットワークオペレーションが実現するとともに、同国における不安定な電力供給の問題もクリアできる、と。
http://www.blogs.com.bd/2009/08/huawei-gp-to-deploy-first-solar-powered-bts/

パキスタンの繊維業者がバングラデシュへの工場移転に興味

The president of Faisalabad Chamber of Commerce & Industry of Pakistan が、バングラデシュのthe Federation of Bangladesh Chambers of Commerce and Industry (FBCCI) との会合で語った。

Unicef の資金で、オーストラリアのライフガードが水難救助と水泳の講習を実施(バングラデシュ)

バングラデシュでは、毎年17000人の子供たちが溺死している。(注:ちなみに2002年の日本の18歳未満の溺死は110名。)要因は、海抜の低い国土でのタイフーンの多発、洪水、海水面上昇などである。この事態を打開するためには、子供たちが水泳能力を身につけ、水難時の救助ノウハウを移転する必要がある。そこで、その領域では定評のあるオーストラリアのライフガードが参画した。

英国がバングラデシュBRACへ$30Mの助成金交付

英国のThe Department for International Development (Dfid) は、バングラデシュにおけるpre-school and primary education(初等教育)の維持のため、$30Mを超える助成金を交付すると発表した。交付金は同国にある世界最大のNGOであるBRACを通じて実行に移される。

助成金は、下記施設の運営継続のための緊急援助である。
1)25,000 non-formal schools and 25,000 teachers in their jobs for the duration of the school year
2)2,500 after-school clubs for teenagers
3)100 community centres
4)150 secondary schools

続々と新たなハイテクパーク設置へ:外資を呼び込み(バングラデシュ)

ICT分野での新たな投資を呼び込むため、バングラデシュ政府は合計6つのハイテクパークを設置する法案の作成に着手している。同国のKaliakoirには、2か月後に最初のハイテクパークが開設される予定である。これら6つに加えて、さらに5つの新しいパークの設置も計画されているという。

バングラデシュ現政権最大の課題はエネルギー不足解消:未開拓の天然ガス資源

エネルギー不足解消が、現Hasina政権最大の課題であると指摘する記事。他にもダッカ市内の渋滞や都市排水機能の不足なども指摘。


同国エネルギー政策、エネルギー産業の問題点を厳しく指摘。

上記記事から、現在の同国エネルギー事情:

1)発電能力は3800-4000MWだが、デイリーの電力需要は5500MW
2)約90%の電力は天然ガスから発電されている。
3)天然ガスは、発電に限らず、肥料製造、その他工業、商業、個人用、そしてCNG(天然ガスタクシー)に用いられる。
4)それら天然ガス需要は2100MMCFDであるが、国内の供給能力は1800MMCFDしかない。
5)このまま新たなガス油田の開発がなされないと、2015年には天然ガスの備蓄が使い果たされる。
6)現状、海底ガス田も地上ガス田も、埋蔵が知られているものがあるにもかかわらず、ほぼ全く新規開発が進んでいない。

バングラデシュの08-09年度、法人税収が18%増―グラミンフォンが最高納税額

07-08年度は33%の伸び、08-09年度は世界的な金融危機に見舞われたにもかかわらず18%の伸び。
08-09年度で納税額トップは携帯電話事業者のグラミンフォン(ノルウェーのテレノール社が62%所有)。納税額は5.50 billion taka ($80 million)。第2位はThe Islami Bank Bangladesh Limitedで、3.34 billion taka。

33%の税収増を記録した07-08年度には、約500Mtakaが政府官吏に現金でボーナスとして還元された。これによって税務における腐敗も減少し、徴税のスピードアップも図られるだろう、と税務当局。


<コメント>
税収増大への報償として税金の一部を税務官吏にキャッシュバックする感覚は、日本人の感覚からするとどうにも理解できない、、、。「みなさん、よく税金を徴収してくれました、ご苦労さん!」ということであろうが、同国での一筋縄ではいかない実情が推察される。

違法な通行料取り立てで食品・日用品価格が高騰(バングラデシュ)

同国のFood and Disaster Management Minister Abdur Razzaque氏によれば、特に同国北西部から首都ダッカへ向かう数100キロの道程で、ギャングが食品運送のトラックを停車させては違法な通行料を強要するという。400キロの道のりで、複数回21,000taka(約$300)を支払う必要があることも。運送業者は、それら違法に徴収された費用を次の卸売業者に転嫁するため、最終的には小売価格がその分上昇してしまうという。
地元警察も、しばしばキックバックによってギャングと癒着しており、取り締まりが実効性を持たない。
この事態に対処するため、政府は砂糖等の日用品にかかる税金を免除したり軽減する策を実施し、なんとか食品価格の高騰を抑制しようとしているという。


この時期の食料品価格上昇の背景には、今年は8月21日から始まるイスラム教のラマダーン(約1ヵ月間、夜明けから日没まで飲食しないしきたり)もある。

観光振興政策の一環:バングラデシュが外国人旅行者保護のための新警察部隊を組織

同国には、2008年実績で35万人の外国人旅行者が訪れ、前年比21%増であったが、観光収入は逆に減少してしまった。要因として挙げられるのが辺境地域の観光スポットでの治安と社会インフラである。今回の警察部隊新設は、首都ダッカから390キロ離れた同国南東部のCox's Bazar Sea Beachであるが、今後他の観光スポットにも拡張していく予定だという。

経済産業省のBOPビジネス支援ポータル

http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/cooperation/bop/index.html

シーメンスから5億円の賄賂を受け取っていた政府高官が2年半ぶりに出頭(バングラデシュ)

携帯電話の契約を維持するために5億円の賄賂を贈られた元通信相が、逃亡の末、2年半後にダッカの裁判所に出頭し、31年の懲役に。(シーメンスはすでに米国の海外腐敗行為防止法Foreign Corrupt Practices Actに違反したとして、$1.6Bの罰金を科されている。)

バングラデシュ全土の通信網が16時間不通に

国内外のコミュニケーションが途絶したこの事態を受けて、すわ軍事クーデターか、首相暗殺計画か、とうわさが流れたが、実際は海底ケーブルの断裂が原因だった。

バングラデシュがインドへ4億個のレンガを輸出

バングラデシュが抱える対インド貿易赤字の解消にと、8月20日から4億個のレンガがインド北東部のTripura 州へ輸出される。同州への他の輸出産品としては、stone chips, cement, plastic goods, readymade garments, agro-products and frozen foodなどがある。これらの輸出額合計は、2011年には$1B規模になることを期待している、とPresident of the Bangladesh-India Chamber of Commerce and Industry (BICCI) Abdul Matlub Ahmad氏。

Read more:http://www.allheadlinenews.com/articles/7016088973?Bangladesh%20To%20Export%20400%20Million%20Bricks%20To%20Northeast%20India#ixzz0OspPgXBZ


<コメント>
先のバングラデシュ訪問時に、ダッカ郊外の川沿いの土地にレンガ工場の煙突が林立していた様を思い出します。ガイドさんの説明によれば、乾期にまとめて作りだめし、雨季は工場を休むのだそう。

15歳以下の子供のうち50万人が「くる病」と推定

最新のバングラデシュ全国くる病調査2008によれば、20,000人の調査対象者のうち、197人がくる病(骨が軟らかくなり、成長が阻害されて骨の変形に至る病気)に罹患していた。この病気の一般的原因は栄養不良と日照不足であるが、同国において、環境、生物学、栄養学いずれの要因がこの高い罹患率を引き起こしているかについては、まだ明らかになっていない。カルシウム不足が要因のひとつではないかと目されている。

バングラデシュ国内商業銀行が国外両替所のライセンスを取得

国外からバングラデシュへの送金を容易にするため、バングラデシュ中央銀行は新たに4つのライセンスを発給した。マレーシア、シンガポール、イタリア、カナダに新たに両替拠点が設置されることに。

JICA:本邦企業のBOPビジネスとODA連携に係る調査研究(公募)

http://www.devex.com/projects/research-on-bop-of-private-domestic-companies-in-relation-to-the-oda-worldwide

公示詳細:

バングラデシュ財務相がマイクロファイナンスの利率決定などに関し透明性を要望

Institute of Microfinance (InM) と Microcredit Regulatory Authority (MRA)が共催するマイクロファイナンス(MF)の利率と透明性に関するセミナーでの発言。

発言要旨:
1)一つのMFで借り入れた資金の返済を、他のMFからの融資でまかなうクロスファイナンシングが発生しており、それを防止するメカニズムが必要
2)MFの運営があまりにローテク(手作業中心)であり、ハイテクを活用した運営効率の向上が必要
3)MFが重要なツールの一つであることに疑いはないが、それが貧困解消の唯一のツールではない。
4)国連のHuman Developement Index は徐々に向上しているが、貧困は同じ率で減少していない。
5)MF機関において、日々の返済業務に問題はないが、利息の決め方には透明性が不足している。

また同セミナーで中央銀行総裁は「MFは貧困の解消に大いに貢献しており、政府の金融政策の対象としてMF機関を組み入れることが必要かもしれない。MFの金利が高すぎるか安すぎるかの判断も、MF機関がどれほどの利益をあげているかを見て初めて判断可能になる。市場ベースの経済では透明性が重要である。なぜならばそれによって経済活動の効率が向上するからである。」と述べた。

MRA副長官は、「MF機関は、農村部での融資活動は大変に効率が悪く、コストがかかるというが、実際どのくらいのコストがかかるのか、明らかに説明する必要がある。」と述べた。


バングラデシュのソフトウエア違法コピーは世界第2位

違法コピー率92%は、アジア太平洋地域では第1位、世界第2位。

USAIDによるバングラデシュの妊産婦への医療支援

バングラデシュ政府の調査によれば、同国の妊産婦のうち、妊娠期間中に最低でも1回、医療従事者に受診できた女性は51%にとどまる。USAIDは同国政府と共同でMAMONIというプロジェクトを立ち上げ、$13.5 millionを投じてSylhet地区で活動している。

ユヌス博士が米大統領メダル2009 Presidential Medal of Freedomを受賞

Grameen Americaによる米国貧困層へのマイクロクレジット活動により、受賞。

Chunati Wildlife Sanctuaryの再植林に米独政府が$19M寄付

このサンクチュアリーは、ミャンマーとバングラデシュ間でアジア象が移動する主要経路にあたるが、地球温暖化によって、水没の危機にさらされている。
http://www.reuters.com/article/latestCrisis/idUSDHA532275

JETROによる公募(入札):社会課題解決型官民連携支援プログラム・潜在ニーズ調査 (その2 対象国:バングラデシュ、 対象分野:保健・医療分野

http://d.hatena.ne.jp/wadanorihisa/20090812/1250078563

経済産業省によるBOPビジネスへの取り組み:BOPビジネスフォーラム

http://www.meti.go.jp/policy/external_economy/cooperation/bop/forum090930/forum_info.pdf

世界銀行が農村部への太陽光発電設置へ$130M融資枠(バングラデシュ)

同国での電力網への接続は、全国土の40%にとどまっている。特に農村部では電力不足と供給制限が著しい。さらに人口増や急速な工業化、家電製品の普及も相まって、年間500MWづつ電力需要が増大している。バングラデシュ政府は、2020年までに電力のユニバーサルアクセス(普及率100%)を目指しているが、特に農村部では電力網への接続が困難である。そこでそれら地域への太陽光発電機器の設置が進められている。今回の融資によって、30万戸へソーラーパネルが設置される見通し。なお、今回の融資枠により、人口密度が高い地域への1000万基の蛍光灯(街灯)設置(既存白熱灯の蛍光灯化)も賄われる。

オーストラリアがバングラデシュでのWFPプログラムに$1.67M拠出

バングラデシュでの食品価格の上昇が最貧困層の栄養状態(とくに子供)を悪化させているという調査結果はすでにエントリーしたが、それを受けて、オーストラリアが現在進行中のWFPによる緊急食料援助に$1.67Mを拠出した。

報道機関の権利を擁護する情報委員会Information Committeeが本格始動(バングラデシュ)

バングラデシュ政府情報相は、情報委員会が独立機関として機能し、報道機関の権利を守る役割を果たす、とコメント。

http://www.asiamedia.ucla.edu/article-southasia.asp?parentid=111259


<コメント>
政治のみならず、経済の自由化にとっても、情報の自由な流通は極めて大切である。

"Manpower export" 労働力輸出(バングラデシュ)

同国政府の労働力雇用訓練局(BMET:the Bureau of Manpower and Employment Training )によれば、2009年1-6月期で同国を離れた労働者は25万1千人で、前年同期比50%減で、今回の経済危機が解消しないと回復は望めない、という見通し。


<コメント>
とはいえ、外貨獲得の主力が海外在住の同国労働従事者(日本的に言えば出稼ぎ)という事実は、いかに国内での就業機会に限界があるかを示している。

ミャンマーからの難民40万人が社会的経済的重荷に(バングラデシュ)

正式に登録された難民2万8千人以外に、未登録難民40万人近くがミャンマーとの国境地帯に。難民の送還もなかなか進まず。
http://bdnews24.com/details.php?id=91875&cid=2

世界銀行がPadma川架橋工事への融資を増強(バングラデシュ)

当初$300Mのコミットメントを54%増しの$456Mに。

「我々世界銀行は、電力、社会インフラ、人材開発、社会のセーフティネット、今回のPadma川架橋を含む水資源管理といった優先度の高いセクターを支援していく。」"The World Bank will support the priority sectors of power and infrastructure, human development, social safety nets, and water resources management including the Padma Bridge"

在外バングラデシュ人からの送金

先のエントリーで触れた海外送金は、同国の外貨獲得源の第1位であるが、その金額は2009年7月1か月で$886Mに上り、2008年度(2009年6月末)の$9.7Bは過去最大規模だった。

アジアの生産基地としてのバングラデシュ

ヘラルド・トリビューン紙とモルガン・スタンレーによれば、2015年までに、同国への海外直接投資は$5Bに上ることが予想される。同国は、肥沃な土地、豊富な石炭や天然ガスに恵まれ、世界有数のジュート(黄麻)、茶葉、皮革の生産地である。そして豊富な労働力は、製造業の発展にとって重要な要素である。情報通信ネットワークも整備されつつある。外貨獲得という観点からの現在の主力産業は、被服縫製業である。在外バングラデシュ人からの送金に次ぐ地位を占めている。

この繊維関連工業を中心として培われているスキルや技術は、労働集約的な次のような産業にも転用可能であろう:革製品、靴、スポーツ用品、カーペット製造、手工芸品、小型電化製品組み立て等。他に能力を有していると思われる産業は、食品加工、医薬品製造、等。

インドや中国は、工業化と貿易によって経済の急速な発展に成功しているにもかかわらず、その材料はそろっているはずのバングラデシュが実現できてこなかった。政治的安定を取り戻しつつある今こそ好機である。誰の目にも投資に好機、という状況になってからでは遅すぎる。

(記事自体は、国外にいるバングラデシュ人に、母国への投資を呼びかける内容)

2009年8月21日金曜日

BOPにおける多国籍企業の役割

世界には貧困を解決するに十分な公的資金(税収)があるわけではない。つまりそこでは民間の力が役割を果たさねばならない。その一つの解はBOP国内で事業を起こし貨幣収入を増やすことである。しかしながら、国内での事業が発展するためには、様々な経営資源(資本や技術)や世界市場へのアクセスが必要である。これらはBOP単独ではなかなか揃わない。それらを保有するのはグローバル経済の成長エンジンとしての多国籍企業である。そこにBOP市場において彼らが果たすべき役割がある。(大意)

"There isn't enough tax money in the world to make a dent in poverty. It's got to be done privately. And we know that one of the answers is promoting domestic businesses. But we also know that for a domestic business to flourish, it requires the nourishment that comes from global attachment, from integration into the world economy, from access to markets, credit, and technology. And where does this come from? This comes from the 63,000 multinational corporations that are now the engines of globalization." George Lodge, professor emeritus, Harvard Business School, HBS Conference on Global Poverty, December 2005. (p.2, Business Solutions for the Global Poor, Jossey-Bass: San Francisco, CA.)

Business Solutions For the Global Poor: Creating Social and Economic Value

HBS編集のテキスト(2007年)。
2005年開催のコンファレンス、A Conference on Global Poverty: Business Solutions and Approachesでの発表論文集であるだけに、様々なエピソードの集合体という感は否めないが、「BOPと企業活動」の学習にとっては大変有用な情報源である。

2009年8月20日木曜日

マイクロファイナンスと生産性向上の関係:過剰な傾斜は生産性向上を妨げる?

Karnani(2007)には、Banerjee and Duflo(2007)を参考文献として引用しつつ、マイクロファイナンスを受ける「個人起業家」について興味深い記述(p.104)がある。

「マイクロクレジットで資金を借り入れる個人顧客の圧倒的多数は、競争優位などという概念とは程遠い、生きるためのぎりぎりの活動に追われている。
小事業のオーナーとしてのそれら貧困層の人々は、たいていの場合専門技能もなく、複数の事業を掛け持ちしているのが常である。それらの仕事の多くはあまりに小規模であり、平均的に見て雇用する従業員を持たないビジネスである。保有する資産も極めて小さい。
低スキル、小資本、そして規模の経済の不在から、これら個人事業は参入容易で競争の激しい領域の商売である。さらに、生産性の低さゆえに得られる利益もごくわずかであり、事業主を貧困から引き上げることはできない。
こうした貧困層が『快活で創造性に富む起業家』である、というプラハラッドの主張を支持する証拠はあまりに少ない。」

「たいていのマイクロクレジット利用者は、自らの意思によって『小規模個人起業家』になる道を選択したわけではなく、それなりの給与が得られる工場労働があれば喜んでそれに従事するだろう。我々は貧困層の人々を『快活で創造性に富む起業家』である、と夢想するべきではない。」

このあとKarnaniは、マイクロクレジットへの過剰な傾斜は、規模の経済性や生産性向上の観点からむしろ事態を悪化させる可能性すらあると指摘し、「(貧困の解消には)単に雇用を創出するだけでは不十分であり、人々を貧困から引き上げるに十分な賃金を実現させる生産性を実現させなければならない。」と述べる。

上記の生産性が達成されない限り、working poor (就業しているにも関わらず、一日2ドル以下での生活を余儀なくされている人々)は減少しない、として下記のテーブルを示す。


(Karnani 2007, p.106)







「インドは、この点において(中国と比べて)凡庸な成果しか出せておらず、アフリカに至っては惨憺たる状況である。このインドにおける生産性向上の低さの一つの原因は、同国企業の規模の経済性が不十分な点にある。インド企業の平均規模は、他の発展途上国企業の10分の1に満たない。」




「BOPビジネスの幻想」Karnani (2007) "The Mirage of Marketing to the Bottom of the Pyramid" =プラハラッド(2004)への反論

Karnani(2007)はPrahalad (2004)をまず下記のように総括する。
<KarnaniのまとめによるPrahalad(2004)の要点>
1)BOP市場には、多くの手つかずの購買力が存在する。民間企業はそれら貧困層市場に販売することにより、著しい利益を上げることができる。
2)貧困層市場に販売することにより、民間企業は繁栄を貧困層市場にもたらすことができ、その帰結として貧困根絶への助けとなることができる。
3)大規模な多国籍企業(MNCs)は、この貧困層市場への販売において、主導的な役割を果たすべきである。

続いてKarnaniは、Prahalad(2004)はBOPの販売先市場としての有望さと大規模MNCsの役割を誇張しているという根拠を数々指摘する。

最終的にKarnaniは、BOPという概念を「生産者としてのBOP」と「消費市場としてのBOP」という二つの概念に分けて考えたほうが議論がしやすくなるという。そのうえで、民間セクターが貧困解消に寄与できる代替アプローチとして、BOPを主に消費者市場として認識するのではなく、生産者(producer)として注目し、さらに彼らが生産したものを購入することの重要性を強調する。そしてそれこそが最も重要なこと、すなわち「貧困層の収入の現実的増大」につながると主張する。

先のエントリーで触れたマザーハウスは、まさにこのKarnaniのパターンに合致するし、実はこのモデルは発展途上国に対して低コスト労働を求めて生産を移転してきたこれまでの多くの多国籍企業の行動と、少なくとも表面上は変わらないように見える。これらの生産・購買活動を、搾取か、もしくは共生による貧困解消かに二分するのは、まさにそこで得られた潜在的利潤の配分比率にある。

ところで、この「生産拠点としてのBOPとそこからの購入・調達」が結果的に貧困解消に役立つというモデルは、考えてみれば多くの先行する発展途上国が先進国の生産拠点として低コスト労働力を提供し、輸出によって経済を発展させ、先進国へと脱皮してきたモデルそのもののようにも思える(日本、韓国、シンガポール、中国、マレーシア、タイ等々、、、)。

結局Karnaniの論文の重要性は、企業が営利の本業を通じて貧困を解消するというゴールに対し、伝統的にBOPビジネスの事例として指摘されるモデルA(後述)以外に、モデルBを提示しているところにある。

モデルA:多国籍企業が自社リソースを使ってBOP市場向けの製品・サービスを開発し、自力開発した現地販売チャネルか、現地NGOとタイアップしながらマイクロクレジットで資金を得た小規模個人事業家をチャネル化して販売する。(HLL、グラミンフォン)

モデルB:多国籍企業が技術と相当規模の資本をBOP市場へ投入し、BOP層の人々を生産従事者として雇用し(もしくは農産品等を調達し)、それを富裕・中間層を含む同国市場で販売するか、輸出する。(Amul、e-Choupal、マザーハウス)


Karnani, Aneel (2007) "The Mirage of Marketing to the Bottom of the Pyramid: How the Private Sector Can Help Alleviate Poverty" California Management Review, v49. n4. p. 90-111.

Prahalad, C. K. (2004) "Fortune at the Base of the Pyramid: Eradicating Poverty through Profits" Wharton School Publishing: Upper Saddle River, NJ.

マザーハウス

 すでに「社会起業家」として広く知られた山口絵理子氏の経営するバッグ製造販売会社。現在HISと提携し、バングラデッシュでのバッグづくりツアーが企画されている。
 創業の経緯や苦難は同社ホームページ氏の著作に詳しい。
 同社のビジネスモデルは、バングラデシュ現地での原材料調達と鞄製造、そして日本における販売、である。現地での雇用創出およびフェアトレード、社会性の高い企業理念という観点から、評価・注目されている。
 「営利の企業活動と貧困解消」の関係を議論する本フォーラムの趣旨からしても、同社の活動は注目に値する。
 そこで実はかねがね気になっているのが、「BOPビジネス」の定義である。通常は、いわゆるBOP層を対象に、そこで雇用と消費の両方を促進するビジネスを実質的に意味していることが多い。ビジネスモデルとしては、HLLのProject Shakti、グラミンダノン(これは非営利だが)、グラミンフォンのビレッジフォンプロジェクトなどが典型である。そこではマイクロファイナンスを有効に活用しながら、資金調達力のない農村部の女性を個人事業家として自立させるとともに、彼女らによって販路も同じ農村部で拡大していく、というモデルである。
 しかしながら、製造者・原材料購買者としてのみBOP地域に関与し、必ずしも販売はしないが、雇用(すなわち収入)を生み出す活動もまた、「営利の企業活動を通じた貧困解消」そのものである。企業は極めて低水準の労働コストによる製造で原価を抑えるとともに、主に先進国市場を販路とすることで高価格での販売が可能になる。こうなると、いわゆるBOP戦略でバリアの一つとされるAffordabilityの壁は乗り越える必要がなくなる。
 こうなると、次のコラムで詳述するKarmani(2007) "The Mirage of Marketing to the Bottom of the Pyramid: How the Private Sector Can Help Alleviate Poverty"の論がより説得力を持ってくると思うのだが。
 


2009年8月13日木曜日

BOPビジネスのfeasibility study

本日、ある開発援助機関の方に教えてもらったのですが、
BOP市場でのビジネス可能性調査について、経済産業省の公募が始まっています。

野村総合研究所のホームページに詳細が記載されています。

経済産業省により、我が国企業による途上国でのBOPビジネスを促進するため、当該ビジネスに関心を持つ民間事業者等から提案を募り、これを実現するために必要な、途上国の現地ニーズ・市場・制度等の把握、関係政府機関・民間団体等の探索、連携可能性のあるパートナーの発掘等のためのF/S調査を実施することとされました。」(NRIホームページより引用)

経産省による第1回BOPビジネス政策研究会でも、そもそもBOPビジネスにはどういうものがあるのかということが議論されていましたが、それを実際にビジネスを行う企業が調べるための予算を経産省が援助しようということです。そうすることによって日本企業へのBOPビジネスへの啓もう活動にもなると考えられています。

興味深いのはその公募の評価方法
200点満点で企業のproposalを評価しますが、その配点からどういう企業に期待しているかが推察されます。
カテゴリーで言うと「提案事業者におけるBOPビジネスの事業計画」と「提案事業者に関する基礎項目」が最も配点が大きく、個別で言うと「ビジネスの遂行能力」(資金、人材が充実しているか、過去3年の決算状況)が最も大きくなっています。
つまり、「実績の確かな相当規模の企業」の提案を待っていると解釈されます。

もちろんある程度資源を持ったところでないと投資回収期間の長いBOPビジネスを遂行することは難しいかもしれません。ですが、今成功している企業というのはBOPではなく先進国市場で成功した企業であって、それがそのままBOPで成功するかどうかは別問題です。BOPでの成功のためには過去の成功実績にとらわれず、その企業がどのようなイノベーションを起こせるのか、新たなビジネスモデル、新たに追求していこうとする価値が何なのかということも評価される必要があるでしょう。


<岡田からのコメント>
 経産省の今回の支援は、躊躇する企業の背中を押す意味があると思います。そして、それが実質的に「資源の豊富な既存企業」対象であっても、むしろそうであればこそ、方針・考え方さえはっきりすれば、より実現可能性、より即効性のある企業活動を展開できることは確かだと思います。すでにBOP市場に真剣に取り組んでいるフィリップス、ネスレ、ダノン、GE等々、すべて先進国市場で成功している大企業です。
 一方、新たなイノベーションをいかにして起こすかや、より小規模な社会起業家の支援が必須であることも事実です。ですが、こちらの分野はまた異なるチャネルで支援されればよいわけで、すべてを一つの支援スキームに求めることは難しい。日本企業が乗り遅れている感が強いこの分野では、いかなる支援であっても有用性があると考えます。


2009年8月7日金曜日

ついにバングラデシュでVoIPライセンスが発給される

まずは32ライセンスで、今後さらに追加発給されるとのこと。ここ数年間待たれていたネット上のボイスコミュニケーションが合法的に可能に。

2009年8月6日木曜日

NHK BS 世界のドキュメンタリー「労働現場からの告発 バングラデシュ」

スウェーデンのエリクソン社とノルウェーのテレノール社が関係するバングラデシュの工場での労働実態を取材したドキュメンタリー。2社の電波塔を製造する3工場への取材によって明らかになった安全衛生の実情。


2009年8月10日まで、NHKオンデマンドで有料視聴可能。

2009年8月5日水曜日

貧困撲滅で収益 途上国を開拓 経産省 BOPビジネス研究会

http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200908050089a.nwc

本フォーラムの尾形、栗原もこの研究会を傍聴しました。

The Green Leap

コーネル大学が主張する、クリーンテクノロジーとBOP市場をかけ合わせた概念。
「偉大なる収束(The Great Convergence)」と題する資料がこちら:
それを紹介・発展させているする野村総研(日経ビズプラス)の頁がこちら:

NTTドコモの世界戦略

http://www.bcm.co.jp/site/2009/08/ntt-docomo/0908-ntt-docomo.pdf

このインタビューの中に、バングラデシュの通信会社 Axiata (Bangladesh)Limited社への出資の件が出てくる。Axiata本体は、マレーシアに本社を置く通信会社で、本年7月に我々慶應の研究チームが訪問したAktel(ダッカ)の親会社。このAxiata社は、マレーシアやバングラデシュの他、インドネシア、スリランカ、カンボジアでもサービスを展開している。Aktelに対して、Axiataは70%、DoCoMoは30%の出資をしている。

補足: Aktelはブランド名、それを提供している通信事業者の名称はAxiata (Bangladesh) Limited

世銀による「BOP戦略」プロジェクト募集

世界銀行が支出する「世界規模でのBOP戦略」に関するプロジェクトへの募集が始まっています。興味のあるコンサル会社は名乗り出てください、というもの。

2009年8月3日月曜日

ユニリーバ インドでのシャクティプロジェクト (You tube)

ユニリーバのインドでのシャクティプロジェクトは、HBSで"Hidustan Lever Limited(HLL)”としてケース教材になっているが、ユニリーバ・ジャパン株式会社 コミュニケーションディレクター 伊藤征慶氏がそのインドでのシャクティプロジェクトを映像で丁寧に紹介している。

ユニリーバは単独、及び国連やWFP(国連世界食糧計画, World Food Programme)等とのパートナーシップで現在16,500以上の社会貢献プログラムを実施している。その活動の柱は3つ、衛生、栄養、サステイナビリティ。

インドのシャクティプロジェクトはユニリーバの製品を農村の女性に販売してもらうというものだが、映像によれば、この仕事により世帯収入が2倍になったとの事。ちなみに女性はほとんど収入を伴う仕事を行っていないということなので、男性(夫)と同程度の収入を得る事になったと考えられる。
また、子供に紙芝居を用いて石鹸を用いた手洗い、歯磨き、シャンプーによる洗顔など衛生に関する啓蒙活動の様子も紹介されている。

なお、ユニリーバは元々インドで70年間ビジネスを行っており都心部には強かったが、農村部には販売出来ておらず、地元競合企業の農村部での成功を見て、ようやく参入した。その時の社内の議論では農村に進出する事にほとんど抵抗はなく、さらにビジネスを拡大させる為には農村に出ていくしかないだろう、ということで意思決定はスムーズになされたようだ。創業以来の社会貢献に積極的な会社のDNAも影響したようだ。
但し軌道に乗せるには時間がかかり、2001年に開始後、ここ数年でようやくビジネスとして成立するようになった。
(vol.3-6で説明されている)

ユニリーバの目標は、2010年に10万人のシャクティレディを確保し、60万の農村のうち50万、人口では6億人をカバーしたい、ということである。

Learning Planet 2009-06 / vol.3-3
Learning Planet 2009-06 / vol.3-4 Bottom of the pyramid
Learning Planet 2009-06 / vol.3-5 Bottom of the pyramid
Learning Planet 2009-06 / vol.3-6 Bottom of the pyramid
Learning Planet 2009-06 / vol.3-7



ちなみに、別の出演者によれば、イギリスでも1930年代には良く似た事例でたばこのバラ売り(箱売りではなく1本ずつ販売)が行われていたとの事。どの国も良く似た歴史を辿るのか?

2009年8月2日日曜日

在バングラデシュ日系企業一覧

http://www.bd.emb-japan.go.jp/jp/pdf/japancombangladesh.pdf

このJETROダッカ事務所による2005年のリストを見ると、全部で61社。現地への輸入と販売が36社、現地製造もしくは現地開発している企業は、下記の25社である。その後2008年にユニクロが合弁で縫製工場の設立を発表し、「バングラデシュを中国に続く第2の生産拠点に」と柳井社長が発言している。

1.E & C Manufacturing (ポリプロピレン製造、ダッカ)
2.エクスプコム(EXPCOM) (水晶振動子製造、ダッカEPZ)
3.サバール・インダストリー(革靴製造、ダッカEPZ)
4.ジェイスン・ダッカ (ミネラルウォーター製造販売、ダッカ)
5.セイコー(SEIKO Precision Parts) (コピー・FAX機の部品(ゴム)製造、コミラEPZ)
6.太平洋セメント (セメント製造、ダッカ、合弁)
7.タナカグループ (合成繊維製造販売、ダッカ)
8.東華(TOKA INK) (インキ製造、ダッカ、合弁)
9.ビージェーアイティー(BJIT) (ITソフト開発、ダッカ、合弁)
10.ビジュアルマジック (ITソフト(ゲーム)開発、ダッカ、合弁)
11.ユニカ(UNIQA) ( ITソフト(医療関係)開発、ダッカ)
12.YKKバングラデシュ (ジッパー製造販売、ダッカEPZ)
13.KUROKI CHAIN BANGLADESH  (アンカー用チェーン製造、チッタゴンEPZ)
14.DREAM BENGAL GARMENTS (女性用下着製造、チッタゴンEPZ)
15.DREAM KNITTING (BD) LIMITED (ニット製造、チッタゴンEPZ)
16.MAMIYA-OP (ゴルフシャフト製造、チッタゴンEPZ)
17.SANKO OPTICAL  (レンズ研磨加工、チッタゴンEPZ)
18.BMS (ロープ製造、チッタゴンEPZ)
20.COSMO (レンズ研磨加工、チッタゴンEPZ)
21.CBC OPTRONICS (監視用カメラ製造、チッタゴンEPZ)
22.MEIJI INDUSTRIES (自動車部品製造、チッタゴンEPZ)
23.OP-SEED BD(光波) (発光ダイオード製造、チッタゴンEPZ)
24.YAITA KOUKI (アルミダイキャスト、チッタゴンEPZ)
25.LUNA LITE (発光ダイオード製造、チッタゴンEPZ)

2009年8月1日土曜日

バングラデシュ進出を考える日本企業向けサービス

ドリームクラスター㈱と、バングラデシュのポータルサイトGoCooh.com(ゴクウ・ドットコムhttp://www.gocooh.com)を運営する㈱ゴクウが提携

BOP市場における生産販売活動

 本フォーラムでは、検討の対象を「BOP市場における経済的価値と社会的価値創出の両立を可能とする条件」と定義し、これまで企業事例を探索してきた。その典型例はグラミンフォンやHLLなど、地域コミュニティに生産者と消費者の双方を同時に生み出せる事業モデルであった。
 ただ、1960年代からアフリカのウガンダでワイシャツの製造に取り組んできたヤマトシャツ(現ヤマトインターナショナル)の柏田雄一氏のケースを考えるにつけ、純粋に直接投資として製造工場を設置し、雇用を創出(すなわち地域への現金収入の創出)することだけでも十分に経済的価値と社会的価値(貧困の解消)が両立するような気がする。(むろんその現地生産が地元の労働力を搾取するかのような低賃金・低労働条件では論外。そうではないとして。)
 となると、BOP市場進出のかたちは一挙に自由度が高くなるように思われるが、どうだろうか。

「ネスレ 不況に強い『底辺』戦略」

日軽ビジネス 2009年5月18日号

戦略分析の記事として秀逸。詳細はオリジナルを読んでいただくとして、記事はネスレのインドにおけるPPP(popular position product、低所得者層向け小分け商品)戦略の中味だ。「モガ・ミルク地区」と呼ばれる地域で、50年かけて重要原材料としての牛乳の現地調達を農家と共生を図りながら続け、信頼関係を構築してきた経緯が詳細に描かれている。その中で、印象に残ったフレーズを以下引用する。

■現地のミルク回収責任者「50年近くも村にキャッシュフローを生み続けたことが、農家とネスレの間に強固な関係を作り上げている。」「ミルクを届ければ、必ずカネに換えてくれる」という信頼の絆
■「(牛乳の)生産性と品質を高めるために、ネスレは村の女性への教育にも力を入れる。この土地では家畜に餌を与える仕事は女性が担うのが一般的で、女性を対象に牛の健康管理などについて定期的に勉強会を開催しているのだ。」
■ネスレ・インディアのローランド会長「モガの活動はチャリティーではない。そのすべてが農家との信頼関係を強め、ネスレが利益を上げ続ける基盤となっている」「農家、その妻、そして子供たちが、何世代にもわたってネスレとの絆を強めていく。」「社会階層ピラミッドの底辺にいる人たちも、日々、上へ上へと動いている。だから、今から低所得者層にブランドを浸透させておく必要がある。」
■「モガと同様の取り組みは中国や南米、アフリカなど、29カ国で展開されている。」
■「ネスレは10年先、20年先の巨大市場を見据え、その準備をしたたかに始めている。」

最後に記事は、ネスレの資本政策に言及している。当初はスイス在住者に株式保有を限定していたが、事業のグローバル化に伴い、ロンドン、パリ、東京などに上場、しかしニューヨークへは株主の短期志向を考慮してADRのみにした。だが2005年には再び上場市場をスイスに限定し、他市場からはすべて撤退を決定する。

ここまでの長期的視野で、全社的に明確な方向性(戦略、およびそれに連動する資本政策)をもって持続的にBOP市場の開拓に取り組んでいる日本企業はあるのかどうか。その事例を探している。


アフリカ・ザンビア 携帯電話で村の生活が激変! (You tube)

ザンビア農業・協同組合省と国際協力機構(JICA)の共同プロジェクト(村落生活改善プロジェクト)
http://www.youtube.com/watch?v=dTCHcB4DajQ

プロジェクト自体のウェブサイトはこちら:

第1回AFDP-JICAフォーラム

BOPビジネスを支援するプラットフォームを構築

アライアンスフォーラム財団とJICAが-第1回AFDP-JICAフォーラム-を開催
第1回のテーマは「アフリカの開発と日本の技術について」

2009年07月31日

九州大学・立教大学とグラミンの連携

IT活用による農村部への情報提供の充実を目指しているという意味で、この九大の取組みは、本フォーラム7月20日のエントリー日本の大学生が企画運営するグラミン・チェンジメーカーズ・プログラム」に関連していると思われる。これらの取組みの意味は、やはり大学や大学生が活動の主体として関わっている点である。より広範な視点での連携としては、立教大学の「立教グラミン・クリエイティブラボ」がある。