2010年10月12日火曜日

企業に事業活動の社会的側面を重視させる、資本市場からの制度的圧力

先にMonitor InstituteによるImpact Investing(資本市場サイドからのアプローチ)についてご紹介した。
本エントリーではそれと共鳴する、そしておそらくはより大きな「ESG投資」というトレンドについて。

貧困削減に資する事業を直接金銭的に(いわばP/Lサイドから)支援するのではなく、企業の利害関係者(その中でも特に機関投資家、つまりB/Sサイド)による仕組み構築、ならびに代表的企業の連署による宣言など、企業に社会問題解決に資する投資や資源配分を行わしめる制度的(institutional)圧力が先進諸国の資本市場で増大しつつある。ESG:環境(E)、社会(S)、企業統治(G)に関する総合的観点から企業を評価する機運である。倫理や価値観に基づくSRIから、長期リターンに連動したESG投資へと、「インパクト」を伴う投資の意味づけ、方向性が微妙に変化し始めている。

資本市場が企業を評価する際のデフォルトの尺度は、株主資本価値の多寡およびその成長性であり、基本的にこれは変わらないだろう。だが、その企業評価項目に、機関投資家自身がEとSを加えることを要求し始めている、という点が重要なトレンドの発生を感じさせる。特に最大の機関投資家である欧州・米国の年金基金群がESGの観点を重要視していることが下記レポートからも伺われる↓

<企業に社会的側面を重視させる「制度的」圧力の最近の代表事例(網羅的ではない)>
1999年   国連 Global Compact 130カ国7,700社が署名)
2006年  国連がPRI(責任投資原則 10か条)発表 (ESG概念の提唱)
2010年  国連ミレニアム開発目標サミット(MDGs goal 8は企業や資本市場との連携に期待) 

投資と環境保護の観点からCERESを運営するMindy Lubberによれば、上記Bloomberg によるESGデータのインテグレーションが、徐々にメインストリームとなっていくのではないか、と述べている。(Havard Business Review Blog 2009)

GIINによるIRISとESG投資の関連については現在調査中。

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