2012年1月5日木曜日

G20 Challenge on Inclusive Business Innovation (G20包括的ビジネスイノベーションコンテスト)

Mr3tiago氏のブログから知る。 このG20包括的ビジネスコンテストのウェブサイトを見ると、内容は以下のようなもの。

このコンテストの意義(私見)新興国・途上国の事業者を、G20という大規模な多国間関係の公式組織の名の下に、「包括的ビジネス」という呼称で顕彰することにより、「包括的ビジネス」という概念の認知がさらに高まるとともに、民間の自助努力による貧困問題の解消と経済発展が促進されることであろう。特に、これまでは先進国の多国籍企業やベンチャー企業に注目が集まる傾向が強い中で、新興国・途上国の事業者にフォーカスしている点が意義深いと思われる。

G20は先進8ケ国+EUに新興経済国11カ国がメンバーとなり、金融と世界経済に関する会合を定期的に持っている。先進国と新興国が協力して広域の持続的経済発展を促進することが目的のグループである。

後援組織:このG20包括的ビジネスコンテストは、IFC(国際金融公社)が仕掛け人のようだ。最初にインド、次にアフリカで応募者によるプレ交流会が開かれるという。応募締め切りは2月末。2012年6月のG20会合(メキシコ)で選抜事業者がお披露目となる。

応募資格は、新興国もしくは途上国の営利企業で、BOP層の人々が供給・流通・販売もしくは顧客として関与しているビジネスを、既に(2009年6月以前から)運営している事業者である。選出されたとしても、金銭的なrewardはない。ドイツで開かれるワークショップに参加したりする機会が与えられるが、基本的なrewardは「G20で認められた」ということで得られるrecognitionであり、「箔」であり、「お墨付き」である。このコンテストで選抜されれば様々な補助金への応募や、資金調達の際に有利にことを運べるかもしれない。

このコンテストの狙いは、

1)成功しているモデル企業をショーケースとして取り上げて顕彰し、広く世界に知らしめることにより、成功するビジネスモデルがさらに多くの国や地域に拡張して行くことを促進すること、

その過程で

2)途上国の包括的ビジネス事業者に光を当て、世界的な認知をすることで信用を高め、その事業の拡張性を一層高めたり、

3)日ごろ国外に出る機会のない事業者同士の交流による学習を促進すること、にあるという。

ウェブサイトを見る限り、政府や非営利組織との連携強化などについては一切触れられていない。


2012年1月2日月曜日

心地よい領域から踏み出して70億人市場へ:日経ビジネスオンライン

日経ビジネスオンライン記者の中野目氏に取材を受け、「地球上70億人を対象にビジネスを開拓する戦略的意図」の重要性を述べたインタビュー記事です。

日本企業が「包括的市場を含む地球全体的視野」に立って、本当に戦略を構築できているのか、というメッセージを投げかけています。

インタビュー記事ですので、反映できていない部分もありますが、補足するならば、70億人市場へ取り組む際に、戦略論上最も重要なのは、「自社独自の経営資源」「自社が最も得意なドミナントロジック」に着目することです。

小型風力発電のゼファー㈱、ベトナムで事業展開

国際協力の求人・就職・転職・キャリアサポートを行うdevexの日本支社ホームページの「開発ニュース」に、日本の小型風力発電機メーカーゼファー㈱ルビナソフトウエアおよび協同組合企業情報センターとの共同事業として、ベトナムに進出する計画が紹介されている。
■典型的なBOP2.0型包括的ビジネス
記事によると、ベトナム中部のホンラオ島に小型風力発電と太陽光発電を組み合わせた自立型電源を設置(将来は小型水力の組み入れも検討)し、自然に恵まれた同地で漁師が捕獲した海産物を冷凍保管する設備を運営する。これまでは非電化地域であるため冷凍・冷蔵保管ができず、余剰の海産物は廃棄されていた。本事業を通じ、内地はもとより輸出を視野に展開、今後はより高付加価値の海産物加工事業にも乗り出す計画だという。JICAの2011年度FS事業に認定されている(上限 5000万円)
この事業計画では、地元の漁師がバリューチェーンの重要なプレーヤー(供給)として組み込まれており、販売事業での新規雇用も想定される。さらに加工業まで発展した場合にも新たな雇用(生産)が現地で創出される。典型的なBOP2.0に該当する包括的ビジネスといえるだろう。

■当該国人材との人間関係の重要性
一つ重要な意味で興味深いのは、今回の共同事業者であるルビナソフトウエアの代表者(ブイ・トラン・ルオン氏)がベトナムからの留学生として東工大博士課程出身という点だ。実は今回の案件は、ホンラオ市長からルオン氏に直接持ち込まれたということだ。
なぜこの情報が重要かというと、途上国への事業進出の場合、現地情報は先進国に比べて圧倒的に不足しがちであるため、当該国出身者と協力関係にあることが極めて有効に作用するからだ。
例えば、これは純粋な企業事例ではないが、九州大へのグラミンクリエイティブラボ設置や、共同研究プロジェクト「開発途上国の社会情報基盤構築」の実現に役割を果たしたのは、同大のアシル・アハメッド特別准教授(バングラデシュ出身)である。
また、筆者が近畿経済産業局のBOPセミナーで講演した際、講演者のお一人だった㈱サニコン(浄化槽事業)の假谷社長(当時)が同様のことをおっしゃっていた。同社は、1997年に国際環境技術協力を目的にベトナムより研修生を受け入れ、ホーチミン工科大学の日本工業技術研究所設立に出資するなどした。それがベトナムとの人脈形成に決定的な役割を果たし、2008年のサニコンベトナム設立につながったという。
国費の研修生や留学生は一流の人材であることが多く、政府や各機関とのつながりも強い。そうした人材をまずは日本で受け入れてみることが、思わぬ大きな機会へつながることもある。何事もリアルオプション的発想で。