2013年1月30日水曜日

米国経営学会 アフリカ・コンファレンス

2013年の1月7日から10日まで、アメリカの経営学会(Academy of Management)で初めてのアフリカにおけるコンファレンス(AOM Africa Conference)が南ア・ヨハネスブルグで開催され参加。総勢300名の中で、アジア人は数名しかいなかったのが大きな驚きであった。他は半分がアフリカ諸国から、半分がイギリス、オランダ、アメリカ、ドイツ、オーストラリア、フランス等から。ケニア、ガーナ、タンザニアの研究者と親しくなる。

この会議は、アフリカにおけるビジネスと開発に関心を持つ研究者を対象としており、研究発表が3分の1、アフリカにおけるビジネスと開発について考える討論セッションが3分の1、フィールド観察が3分の1という構成で、通常の学会のような研究論文発表が主体となる形式とは趣を異にしていた。

フィールド観察には4つのコースが設定され、1.政治・社会と企業活動、2.多国籍企業、3.包括的(BOP)ビジネス、4.社会問題(文化や人種)に分かれて視察へ向かう。私は当然BOPを選択。タウンシップと呼ばれる「旧黒人居住区」へ赴いた(下記写真)。






このタウンシップにも、成功した個人事業者(アントレプレナーと呼べるだろう)がいて、チャイルドケア、レストラン、パン製造など、いくつかのスモールビジネスの成功例を見て回る。またタウンシップの中にも、正式な国籍と住所を持つ南ア国民としての居住区と、周辺国からの違法な移民(正式な住所を持たない)の居住区があり、両者の間の環境の違いは著しい。上記の写真は「正規の」国民の地域である。下記は違法な居住者の地域で、見学時に撮った映像。住居の間の隙間を歩いているように見えるが、これが主たる通行に使われる通常の道路である。かつてバングラデシュで訪れたダッカでも見た、都市スラム特有のよく似た雰囲気だ。




<雑感>

今回の会議参加を通じて体験的に学んだことの一端を挙げる。

1)やはり南アフリカは、いわゆるサブサハラの黒人主体の国々とは明らかに異なっている。例えば、今回の主催校であるビジネススクールの教員は一人のインド人を除いて全員白人。学生は7割が白人、3割が黒人という話。南アからサブサハラ諸国に出かける時、南アの白人の人々は「アフリカに行ってくるね」というとのこと。
2)白人富裕層と黒人との貧富の格差、意識の格差はとてつもなく大きい。
3)白人主導の経済の領域は、先進国のそれそのもの。

歴史的経緯が全く異なるので比較の対象にはならないが、アメリカではAffirmative Actionを始め、様々な人種融合政策がすでに実行され、一部ではそれなりの効果が出ていると感じられるが、南アではまだまだ実質的にはこれからという印象を受けた。ここでは書けない、表現しきれない深刻な問題が様々に存在している。